ご挨拶

一般社団法人日本樹木医会・兵庫大会が平成28年6月3~4日に開催され、盛会のうちに終了いたしましたことをご報告いたします。一般社団法人日本樹木医会会長より、平成26年9月10日付けで平成28年度一般社団法人日本樹木医会・兵庫大会開催決定の通知を頂きましたが、その前の打診の時期を加えますとほぼ2年間にわたる長い準備期間があり、その間ご指導、ご協力いただいた関係者には心よりお礼申し上げます。大会開催までに準備委員会4回、実行委員会10回と数多くの会議を重ねての総会でしたが、以前より資金の準備をしてきたことと、本部、日本緑化センター、近畿地区協議会の補助金及び協賛金を頂いたことが大きな力となりました。また、当日はご多忙にもかかわらず国、兵庫県、神戸市及び関係機関の皆様にご臨席を賜りましたことを厚くお礼申し上げます。 
 本大会前には熊本の大地震があり、会員の中にも大きな被害を受けた方がおられ、一刻も早く復興していただきたいと募金箱を設置させていただき、46,722円の募金を頂きました。集まった募金は日本赤十字社の平成28年熊本地震災害義援金宛に送付いたしました。ご協力、有難うございました。
 定時社員総会は前もって送付されていた資料に基づき進行し、1号議案について短い質問もございましたが、4議案が原案どおり承認され、平成28年度事業が新たに実施される運びとなりました。総会と講演会の間の休憩時間には、県内の樹木医活動を紹介するビデオを放映いたしました。記念講演は兵庫県らしさを出すということで、阪神淡路大震災を経験した県であることから、兵庫県立大学名誉教授 斉藤庸平先生に“先人達に学ぶ緑の都市防災”のテーマで記念講演を頂きました。講演は2題で兵庫県樹木医の宮田和男氏による“兵庫県みどりのヘリテージマネージャー会と樽見の大ザクラ”、2題目も当支部の橋本光政氏による“兵庫県の植物と牧野富太郎”で当県と強いつながりのある牧野富太郎について講演いただきました。
 ポスターセッションは昨年の埼玉大会に引き続き行い、17枚のポスターを展示いたしました。各支部の活動の一端が伺え情報交換の場としての役割を果たせたように思います。そのほかロビーでは樹木に関連した装飾品、器具の展示、本の販売も行いました。
 講演会後の交歓会は約250名と多くの方に参加いただき、来賓の方や樹木医の方の親交と情報交換の場となったものと感じており、食事もほぼ満足頂いたように思います。
 エクスカーションは当初40名バス1台を予定していたのですが、幸いなことに希望者が多く、急遽2台79名となりました。場所は竹田城跡と姫路城で前日までの天気予報は悪く山で降られたら予定どおり実施できるかと心配したのですが、午後少し降られた程度であまり影響なかったのは幸いでした。
 今回の定時社員総会が全国の皆様のご支援により、成功裏に終えることができましたことをご報告し、あいさつとさせていただきます。大会を通じて支部会員の皆様には仕事の時間を割いて献身的なご協力いただき、本当にありがとうございました。

平成28年7月
平成28年度一般社団法人日本樹木医会・兵庫大会実行委員長
 鳥越 茂

開催概要

会場:神戸コンベンションセンター神戸国際会議場

総 会

来賓に林野庁、関係機関、兵庫県、神戸市から14名の方々をお招きし、総勢350名の出席の下、神戸コンベンションセンター神戸国際会議場にて開催されました。総会では、物故者、熊本地震で亡くなられた方に黙祷をささげた後、会長挨拶、議事へと進み、その後、議案に対する議事も滞りなく進行し、次期定時社員総会の開催地が群馬県との紹介がなされ、無事総会を終えることができました。

兵庫県支部樹木医活動報告・ビデオ放映

総会終了後、休憩をはさんで本部役員の改選が別室で行われている間、兵庫県支部の樹木医活動報告として、スライドショーと動画を上映しました。
スライドショーでは、国指定・県指定の天然記念物紹介と、治療例、大径木の移植等がナレーションで流れ、動画は、樹木医の活動が英語の教材になった映像と、テレビ上映された樽見の大ザクラの紹介、紙芝居形式で建屋のヒダリマキガヤを紹介しました。

総会の様子

樹木医講演会

定時社員総会後に開催された「樹木医講演会」では、次の3つの講演が行われました。

1 記念講演
 先人達に学ぶ緑の都市防災
 講師:兵庫県立大学名誉教授  斉藤 庸平氏

2 講 演
 兵庫県みどりのヘリテージマネージャー会と樽見の大ザクラ
 講師:日本樹木医会兵庫県支部  宮田 和男氏

3 講 演
 兵庫県の植物と牧野富太郎
 講師:日本樹木医会兵庫県支部  橋本 光政氏

記念講演要旨1

演題:先人達に学ぶ緑の都市防災
講師:兵庫県立大学名誉教授 斉藤 庸平氏

兵庫県立大学名誉教授 斉藤 庸平氏

阪神・淡路大震災から二十年が過ぎ、東日本大震災からも5年が経過した。しかし震災は過去の話ではなく、火山噴火、異常な風水害、さらには南海トラフの大地震、首都圏直下地震の発生も懸念されている。「天災は忘れたころにやってくる」は寺田寅彦の名言だが、昨今の状況は、忘れる暇がないくらい次々に大災害が発生しており、一段と緊張感を持った防災の準備が問われている。
・緑の機能を見極めた江戸の防火緑化空間
 江戸の防火対策は、緑とオープンスペースを巧みに活用していることがわかる。その基本は考えうる最大限の規模の火災を阻止しようとせず、場面場面で設置可能な火除地等の性能を見極め、役割を限定して設置しているということ。阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓から、最大限の火災や津波を想定し、それに対して完璧さを求める防災対応は想定外の事態に対応できず、被害を少しでも減らすという発想に転換しつつあるが、江戸の火除地は既に実現していたことが分かる。この無理をしない発想が、長期間にわたり持続させる鍵といえよう。

・和風の街並みに隠された防災の知恵
 関東大震災以前、東京本郷の団子坂神明町あたりに盆栽業者が多く集まった地区があった。震災を契機に大宮大砂土村に集団移転したのが始まり。今では世界の盆栽のメッカであり、同時に旧大宮市一番の閑静な高級住宅地となっている。生垣の落ち着いた和風の景観が残るまちでもある(盆栽村)。
一階建て建築、生垣、広い生活道路、さらに街路樹の組み合わせは、地震時の火災拡大にきわめて有効に機能し、盆栽村は、同時に優れた「防災村」であることが分かる。しかも、施設に頼らないので、平成の現在でも持続しており高く評価できるのである。

・日本庭園は優れた避難地
 東京都江東区の清澄庭園は、明治の庭園を代表する「回遊式林泉庭園」として有名で、東京都の名勝として指定されている。
大正12年(1923年)の関東大震災では、四方から迫る市街地火災から多くの避難者の命を救ったことでも有名である。
戦後、被害の少なかった東半分が東京市に寄贈され、都立の庭園として現在にいたっている。
築山+常緑広葉樹林+煉瓦塀の延焼遮蔽壁、火の粉から避難者の身体を守る池の水は、市街地大火からの避難地として必要な要素を備えていたのである。

・まとめ
 庭園や街並みにさりげなく防災機能(主に震災火災)を説明したが、先人たちの工夫には驚かされる。さらに、緑を活かした防災対策には、長期間、維持できる能力を有していることも明らかになってきた。
先人たちのように、私たちが緑を活かした防災公園等について、長期間という「時間」を配慮した計画やデザインそして維持管理を行うことができるかが問われているといってよいと思う

記念講演要旨2

演題:兵庫県みどりのヘリテージマネージャー会と 樽見の大ザクラ
講師:日本樹木医会兵庫県支部 宮田 和男氏

日本樹木医会兵庫県支部 宮田 和男氏

・兵庫県緑のヘリテージマネージャーについて
 兵庫県教育委員会文化財課は、2003年に「みどりのヘリテージマネージャー養成講習会」を開催し、建築同様に緑の天然記念物からスタートして歴史遺産の継承と再発見、文化財を活用した人作り、地域作りを願って、「みどりのヘリテージマネージャー」を養成した。

・樽見の大ザクラ
 樽見の大ザクラは、兵庫県養父市大屋町樽見字ケジメ85番地、通称ケジメノ山と呼ばれる樽見の集落の南側、標高350mの場所にある一本の老巨木で、県下最大のエドヒガンである。
 大空に翼を広げて白雪を振りかざしていた姿が、昭和23年には衰退が見られ、昭和40年代には周囲に植林したスギが大きくなり、石垣とスギ林の影響で大枝の枯れが目立つようになった。地元の人々が保存活動に動き、官民一体となって樹勢回復を願って努力したが、衰退の進行が止まらず困っていた時に、樹木医会の存在を知った大屋町の担当、岩見清氏から平成7年10月に兵庫県樹木医会の松元廣美会長に、衰退した大ザクラを樹木医の力で元気にして欲しいとの一通の嘆願の手紙が届いた。そこで兵庫県樹木医会は11月23日に当時の樹木医9名と林康夫先生で現地調査を実施した。結論として樹勢回復不可能の声もあったが、検討の結果会長が下した結論は、「兵庫の樹木医の総力を結集して樹勢回復に努めよう」であった。

・ジャングルジム支柱の設置と不定根の発根・養成と水の確保
 一部に過重な負担を集中させないようにジャグルジム支柱を設置した。ジャングルジム支柱は、この大ザクラ倒木の回避のみならず、何時でも容易に大ザクラに近づくことを可能にし、不定根の造成、散水装置の設置をはじめ大ザクラの維持活動にはなくてはならない存在である。
 樹勢回復と腐朽した幹に代わるべく樹幹腐朽部と内部から不定根を発生させ、地上部まで誘導して樹勢回復を試みた。不定根誘導のための水量を確保するため、山の方向に2,000ℓタンク5個を増設し、年間10,000ℓの水を確保した。

記念講演要旨3

演題:兵庫県の植物と牧野富太郎
講師:日本樹木医会兵庫県支部 橋本光政氏

日本樹木医会兵庫県支部 橋本光政氏

・兵庫県のフロラ解明の先導者・牧野富太郎
 タイムトンネルを通じて牧野富太郎博士に「あなたが自分の故郷としてあげられる都道府県はいくつありますか」と尋ねてみたい。もちろん、高知県、東京都と続くでしょう。「もう一つ上げてください」とお願いしたら、恐らく兵庫県と答えられるでしょう。それほど、富太郎と兵庫県は結びつきが深い。

・兵庫県のフロラ解析は二つの博物学会が始動
 牧野富太郎が1941年(S.16)年8月に神戸を最後とした以降は、世界戦争へと戦時体制が厳しくなり博物学会、中等博物学会の両学会ともその研究会誌は最終号となり、会員の研究活動も急激に沈静化せざるを得なくなっている。その状況は会誌の最終号の紙質や頁制限を観れば判然と理解できる。
 世界大戦により研究は断たれるが、戦後その培われた厚い研究心は兵庫県生物学会の発足、兵庫県植物誌研究会の発足、兵庫県人と自然の博物館の設立を誘導してきた。
 兵庫生物・創刊号(1948)は戦争の終わって3年後、東京大学理学部教授本田正次博士が生物学会の誕生を祝うと寄稿し、ラジオの「話の泉」を取り上げ、「青森から山口まで陸路を旅するとき、必ず通らなければならぬ県はどこか、その地理的条件を十分に生かし余すところなく探査することを期待する」と。
 3号には建部惠潤の「故大上宇一先生寄稿論文目録(一)が早くも投稿されて会員の意欲がうかがえる。
 兵庫県のフロラ解明の歴史の中で、牧野富太郎に視点を置いて見てきた。現在の兵庫県のフロラや・巨樹・巨木の現況把握は樹木医として強い関心を寄せるべき重要な課題でもある。著者は全国植樹祭記念誌「兵庫県の樹木誌」、同育樹祭記念誌「兵庫の巨樹・巨木100選」を著作し、福岡誠行、黒崎史平等による「兵庫県維管束植物目録」も完成を見た。牧野富太郎等の助言を得つつ始められた兵庫県の植物相の把握は、現時点でほぼ完了したと言える。兵庫県下の生物の多様性追求の研究はこれからも続行されるが、兵庫県では全国に先駆けて“みどりのヘリテージマネージャー”を認定し、その活動が注目されつつある。

ポスターセッション

大会々場では、各支部の活動を紹介し、意見交換する場としてポスターセッションを実施しました。
近畿地区協議会はじめ全国の各支部に呼びかけ、出展希望のあった千葉県、京都府、滋賀県、奈良県、大阪府、
香川県、福岡県そして兵庫県からあわせて、17点のポスターをロビーに掲示しました。出展者が説明員として
立会い、開会までの時間や休息時間に有意義な情報交換ができました。

●千葉県・・・地域のみどりを守る「巨樹・古木フォーラム」の開催
●千葉県・・・里山保全活動を支援する
●京都府・・・天橋立公園の松樹保全対策事業の概要
●大阪府・・・御堂筋いちょうマップ製作
●大阪府・・・大阪府支部で取り組む各種事業の紹介
●滋賀県・・・「淡海の巨木・名木次世代継承事業」での名木治療
●滋賀県・・・竹生島のカワウ被害樹の樹勢診断
●奈良県・・・吉野山「豊太閤花見塚」のヤマザクラの現状と対策
●奈良県・・・国指定天然記念物「二見の大ムク」樹勢回復
●香川県・・・国指定天然記念物「宝生院のシンパク」健康診断
●福岡県・・・五ヶ山ダム「小川内の杉」移植
●兵庫県・・・史跡竹田城跡内における樹木管理
●兵庫県・・・利神城跡の周辺整備事業の指導
●兵庫県・・・追手神社のモミ再生工事
●兵庫県・・・千年フジ不定根処理経過
●兵庫県・・・三日月の大ムクにおけるリング支柱とケーブリングについて
●兵庫県・・・ 磐座神社のコヤスノキ叢林における保全活動について

ポスターセッションの様子

展 示

会場ロビーでは、樹木医関連の機器類の展示や図書の販売コーナーも設けました。
 発表者の1人である橋本光政樹木医の木製品コレクションや発表関連資料の展示コーナーでは、来場者は様々な樹種で造られた拍子木をたたいて音を比べたり、播磨の稀少植物コヤスノキなどの実物を興味深く見ていました。

 ●橋本光政樹木医
  木製品コレクションや発表関連資料の展示

 ●東邦レオ株式会社
  レジストグラフ等展示
 
 ●ベルトールドジャパン株式会社
  測定機器等展示

 ●株式会社グリーンメンテナンス
  エアーインジェクタードドンパ

 ●一般財団法人日本緑化センター
  図書の販売

 ●さくま書店
  図書の販売

展示会場の様子

交歓会

 交歓会参加者数は、概ね250名ほどになり、会場のサイズを大きく超えてしまい、皆さんには狭い思いをさせたかと思います。しかしながら、飲み物、食べ物は十分いきわたっていたと思われますので、今回の交歓会の大きな課題はクリアできたのではないでしょうか。
 また、宮田樹木医から提供いただいた一斗樽や、樹木医大会らしさを演出するため、飲食業者の発案によるバウムクーヘンが会場に花を添えてくれました。
 交歓会の会場は総会会場に隣接し、参加者の移動は混乱なくスムーズに行われました。定刻に、竹見大会運営総括の司会でスタートし、鳥越実行委員長の挨拶、御来賓の日本森林学会黒田副会長のご挨拶、大日本山林会の田中会長の乾杯の音頭で、会食、歓談に入りました。終盤には、次年度開催県の群馬県の皆さんによるご挨拶があり、中締めは兵庫県支部の松元顧問によるご挨拶があり、無事お開きとなりました。

交歓会の様子

エクスカーション

集合写真:天空の城 竹田城跡
集合写真:
世界文化遺産 姫路城・姫路西御屋敷跡庭園 好古園



開催日 平成28年6月4日(土)
参加者 79名
サイト ①天空の城 竹田城跡
    ②世界文化遺産 姫路城・姫路城西御屋敷跡庭園 好古園
案内者 現地ガイド:8名・兵庫県支部会員:7名
内 容
 史跡・名勝地などの樹木が適正に管理されずに、価値を損ねるばかりか既存の文化財に影響を与え、景観を損ねる事例が多く見られます。今回は、城跡と樹木をテーマに樹木の現状を見ていただきました。

 4班に分かれ、現地ガイドの解説。支部会員による活動報告では、他の工事ででました残土投棄場所の自然植生に近い植栽工事、サクラの枝枯れなどの障害枝の対策、石垣に繁茂する植物の対策、樹木管理基準作成にあたっての試験ゾーンの見学をしました。

 姫路城班は、現地ガイドにより城の解説をうけ、支部会員により三の丸広場のソメイヨシノの観光客による踏圧害、また透水性、排水性の不良によるサクラの樹勢の衰退等の対策工事などを見学しました。
 姫路西御屋敷跡庭園は、支部会員4名により、庭園樹木の解説を受け、庭園樹木のアカマツの樹勢の衰え、今後の対策など意見交換致しました。

エクスカーションを終えて

今回のエクスカーションは、移動距離が長く、また竹田城跡では山登り、姫路城では多くの観光客のなかでの登城となり、あわただしい行程となりましたが、皆様に文化財と樹木、観光客と樹木等、いろいろな課題があるなかで短い時間ではありましたが、兵庫県支部会員の取り組みなどを見ていただき、貴重なご意見を頂きました。今後の支部の活動に役立てたく思います。

エクスカーション こぼれ話

定時社員総会の参加者が北海道から沖縄まで、47都道府県の参加を得て開かれた兵庫大会でしたが、エクスカーションも久しぶりに盛況で、北海道から佐賀県まで総勢79名の参加をいただき、大型バス2台で催行しました。ご案内は天空の城「竹田城跡」と世界文化遺産「国宝姫路城」(好古園)で、いずれも兵庫県みどりのヘリテージマネージャー会が、近年、研修活動の拠点として取り組んできたところで、城と樹木の関係の成果を紹介して情報交換を深めることを、エクスカーションの理念としました。
 当初から近年一躍有名となった竹田城跡と、平成の化粧直しが終わった姫路城の組み合わせには参加者人気も予想され、往路のバスは「黒豆パン」の差し入れを受け、元気百倍の参加者でしたが、竹田城跡の登りと時間の制約で急がされ、いささかバテ気味となり、播但連絡道ではコックリさんの続出となりました。当初、好古園への希望者は数名のはずが、最終点呼では20人を超えていたようです。城では天守閣への登閣制限があり、阪神タイガース優勝以来の人気の高さを知っていただくことが出来ました。また、姫路駅を利用される参加者も続出して、2号車の三宮までの参加者はわずか6名に留まりました。

こぼれ話を3題、ご紹介します。

1.往路の道中、六甲山の成り立ち、有馬温泉の謎、第一瀬戸内海と神戸層群、丹波盆地と丹波竜、谷中分水嶺・・・と地形・地質・人文の立て続けの車中説明に対して、後日、礼状を兼ねて次のような文面が送られてきました。
 [・・都庁時代に全国の道府県に石を送ってもらい「ふるさとの丘」を作った。兵庫県からは明石城築城に使われた石を送ってもらい感激した。次回は明石城に行ってみたい。今、大学教育では地形・地質と人文的な教育面がおろそかになりつつあるが、人文地理学は樹木医にとって必須の学問分野であることを痛感している。・・・]  この会員は元日本樹木医会本部企画部長で、丁度、舞鶴・若狭自動車道、春日IC手前の辺りで、車中から西側の山裾に白い大きな鳥を見かけられたそうです。果たして「コウノトリ」か「ゴイサギ」か。ほかに誰も見た人はいなかった。

2.1号車には来年開催の群馬県から6名の参加者があり、皆さん熱心に耳を傾けてくれました。
 温泉県を誇る群馬県から、次のお便りを頂きました。
 [・・・来年は前橋市で開催します。エクスカーションは兵庫と同じ世界遺産富岡製紙などを考えていますが、兵庫のようにはできません。温泉だけは負けません。草津の湯でごゆっくりくつろいでください。次回に御地に行ったときには六甲山が生んだ有馬温泉の金泉と銀泉に浴し、山田錦のお酒をいただいて翌日は六甲山に登りたいです。・・・]

3.2号車の姫路から神戸までの案内
 姫路駅で下車される方を尋ねたところ、25名以上の方が下車されることが分りました。あわてて支部長に代わり散会の辞を述べさせて頂きました。結局、神戸までの参加者は6名となり、用意していた専門の瀬戸内荒廃林地のお話も出来ず、今回のエクスカーションの取りまとめも出来ないままに三宮に到着しました。三宮に予定より30分早く着き、何とか役目を果たすことが出来ました。1号車の皆さん神戸空港までのお見送りご苦労様でした。 

 (同乗者 F紀)